人生観を言葉にする

言葉を書き留めるノートと万年筆、緑茶

労働観・金銭観・家族観は、どれも具体的な暮らしにかかわる価値観でした。人生観は、それらすべての土台にあるものです。何を大切にして生きてきたか、これからどう生きたいか。仕事の選び方もお金の使い方も、家族との付き合い方も、突き詰めれば人生観から生まれています。

この記事では、言葉にしにくい人生観を言葉にする方法と、相手の人生観を知るための考え方を解説します。

人生観はなぜ言葉にしにくいのか

「あなたの人生観は?」と聞かれて、すぐに答えられる人はほとんどいません。人生観は、ふだん意識することのない、当たり前の前提になっているからです。

しかし三十代中盤ともなれば、誰もが転職や別れ、挫折、身近な人との死別など、人生の節目をいくつか経験しています。その経験の中で、自分なりの判断の仕方や、大切にしたいものが形づくられてきたはずです。言葉にしていないだけで、人生観はすでにあるのです。

自分を支えてきた言葉を書き出す

人生観を言葉にする一番の近道は、自分を支えてきた言葉を書き出してみることです。座右の銘のような立派なものでなくても構いません。親に言われた一言、本で読んだ一節、口癖のようになっている言い回しでも十分です。

たとえば、次のような言葉を大切にしている人がいたとします。

一つ目からは、先延ばしにせず今できることを今やる、という行動を重んじる姿勢が見えます。二つ目は、声高に自慢するより、内に秘めておくほうに価値を見いだす考え方です。三つ目は、高すぎる目標に正面から挑むより、力を抜いて別の道を探すという、ユーモアのある柔らかさが感じられます。

このように、大切にしている言葉には、その人が物事にどう向き合うかが表れます。自分の言葉を3つほど書き出して、なぜその言葉に惹かれるのかを考えてみてください。

人生観の例①:準備を重んじるか、流れに任せるか

人生観の違いがよく表れるのが、物事への備え方です。

日ごろの積み重ねがあってこそチャンスを生かせる、と考えて計画的に準備する人がいます。一方で、先のことは分からないのだから、そのときどきの流れに乗ればいい、と考える人もいます。

どちらが優れているということはありません。ただ、二人の考えが違う場合、貯蓄や住まい、キャリアの計画などで意見が分かれやすくなります。お互いがどちらのタイプかを知っていれば、「計画はこちらが立て、いざというときの決断はあちらに任せる」といった役割分担もできます。

人生観の例②:迷ったとき、前に進むか立ち止まるか

もうひとつ違いが出やすいのが、迷ったときの決め方です。

たとえば、人生に悩んでいた時期に、親から「迷ったときは、前に進んでみればいい」という言葉をもらった人がいます。失敗してもいいじゃないか、という意味の言葉です。こういう言葉を支えにしてきた人は、転職や引っ越しなどの大きな決断でも、思い切って動くことを選びがちです。

反対に、慎重に考え抜いてから決めることで失敗を避けてきた人もいます。どちらも、その人がこれまでの人生で身につけてきた、自分を守るための知恵です。

人生観の違いを「正す」のではなく「知る」

相手の人生観が自分と違うと分かったとき、つい「その考え方はおかしい」と正したくなることがあります。しかし、三十代中盤までかけて形づくられてきた人生観は、簡単には変わりませんし、変える必要もありません。

大切なのは、違いを知ったうえで、その違いを二人でどう扱うかを考えることです。考え方が違うからこそ、一人では気づけなかった選択肢が見えてくることもあります。

ただし、どうしても受け入れられない違いもあります。人を平気でだます、自分の考えを押しつけて相手の意見を聞かない、といった態度は、人生観の違いではなく、関係を続けるうえでの問題です。そうした相手の見極め方は、詐欺と安全対策の記事でも触れています。

相手の人生観を聞く質問

人生観は、直接聞いてもなかなか答えが返ってきません。次のように、経験や具体的な場面を聞くと、自然にその人の考え方が見えてきます。

  1. これまでで一番大きな決断は何だった?
  2. つらかった時期を、どうやって乗り越えた?
  3. 大切にしている言葉や、人に言われて忘れられない言葉はある?
  4. 10年後、どんな毎日を送っていたい?

重い話になりすぎないよう、自分の話を先にするのがコツです。自分の人生観を整理したい人は、価値観の棚卸しシートの「人生観・世界観のチェック」を使ってみてください。